髪切りました

無視された。
家の中での出来事。
狭い部屋の中にいるのは私と「そいつ」だけ。
ちなみに「そいつ」は私とは何の血のつながりもない。
いや、あってほしくない。
現実、血がつながっていないのだから、その点では許そう。
でもその後が問題。


こちらがまず「そいつ」の一部にさわる。
軽く触れたその刹那、相手が動き出す。
そしてこちらからモーションをかける。
しかしそのモーションが終わる前に、「そいつ」は私がさもいないように動き出した。


確かに私は影が薄い。
しかしながら、狭い部屋で向かい合っている状態でそれはないだろう。
さすがにひどい。


二時間ドラマの最初のストーリー導入部分を見逃してしまい登場人物の人間関係が全然解らず、脇役が出るたびに見せる「こいつは誰なんだ?」と疑問を抱えているような視線でこちらを見ているような気がした。
あくまで気がしただけであり、実際問題そんな視線を「そいつ」は送ってすらいなかった。
こちらを見ているかさえ怪しいのだから視線を送っているかさえ定かではない。


そしてこちらのモーションを流すように「そいつ」は動いていた。
観念した私はその動きの数秒後、その部屋から立ち去った。



この話は一部の擬人化と多大なる誇張を使っています。
「そいつ」が気になる人は「そいつ」に「トイレのウォシュレット」を当てはめてみると理解できるかもしれません。


それでも理解できない人は諦めてください。
どうせしょうもない話ですから。


ちなみにいらない説明ですが、モーションとは動作などを示すことばです。