宿題しなければ

小説も書かなければならない空気。
メモ帳に書いたりするのは面倒なので、いまここで適当に考えて書く。
推敲なんて知らない。
主人公は女性。




ある、晴れた日、気分がとてもよかったわたしは、2人の親しい人とともに近くの山へピクニックをすることにした。
断じてハイキングでもないし、そこは迷いの森であったりもしないので摩訶不思議な展開が待ち受けていたりもしない。
公園の砂場の山より大きく、富士山より小さい、その程度の山で、名所と言うべきところもない。
とりあえず、きれいな空気を吸えることだけは確か。


わたしたちは山へ向かった。
けれども、当然の展開とも言うべきか、2人がはぐれてしまった。
まったく、困ったものだ。いい年して何してるんだろう。
しかしこの状況、人によってはわたしが迷子になっていると感じる方もいるかもしれない。
でも、別にちょっと蝶々を追いかけてみたり、虫から逃げたりしたらこうなっただけで、わたしには決して問題はない。
虫たちから逃げていたらどんどんとまわりが自然だらけになっていってしまった。
人工物も人間も、ない。
寂しくなってきたわたしは歌を歌うことにした。
最近学校で習った曲だ。
今の自分の状況に多少あっている、そんな曲。
すぐにその歌の恐ろしさにきづき、わたしは歌うのをやめた。
現実にそんなことが起きてしまえば、気絶してしまうかもしれないからだ。


しかし、悪い予想は当たってしまうもので、そのとき後ろから声が聞こえた。
ような気がした。
だって、このあたりに人間がいるわけない。
後ろを振り向いても人間は居なかった。


代わりにクマが一匹いた。
そのクマが何と言ってるのか、電波とかちょっと別の波を感知したりなんてことは、わたしにはできないので分からないけれど、何かを訴えかけてくるような眼差しをしていたのは確かだった。


ここでさっきの歌を思い出す。
森のくまさん。
たしかこの状況だと追いかけっこの後に落し物渡されるところかな。
さっき蝶々や虫との追いかけっこもしたし。
都合よくクマの足元にわたしのハンカチが落ちている。
どう考えても次の一手は「クマがハンカチを拾って渡してくれるのを待つ」だよね。
そういえば死んだフリってしなくていいのかな。
とりあえず私は動かないで相手の動きを待った。
視界が揺らいだ。
意識が遠のいた。



その日、山に出かけた家族の若い娘が迷子になるという事故があった。
父親と母親の必死の捜索もむなしく、娘は見つからなかった。
その代わりに別のものが見つかった。
皮膚がところどころ引きちぎられた、人間の形をした血まみれの骨と皮。
身長から察するに、今にも童謡を歌いだしそうな年齢だ。
それからというもの、その山で手の真っ赤なクマが度々目撃されたという。




オチってどうつければいいんでしょうかね。
落ち着きがない。
いっそのこと「皮膚がところどころ引きちぎられた、大型のクマの死体が見つかった」とかもしてみたかった。
でもどうあがいてもオチがつかない。



たかだかこれだけ書くのに、テレビへと集中力を散漫とさせていたら、30分ぐらい経っていた。
長編はプロットとか立てないと厳しいけど、短編とかはそういうの書かなくて良いから楽。
長編小説なんて書いたことないし、作文では推敲せず、テストでは見直ししない人間がプロットなんて立てられるわけがない。



まずい。
宿題やらなきゃ。
おやすみなさい。じゃ駄目かな。