おじさんと本

帰りの電車にて。
座れない程度に混んでいた車内で立っていた。
何をするでもなく周りを見ていると、席の上の荷物置きに少年誌と思しきものが置いてあるのを見つけた。
誰のと分からぬそれを読むわけにはいかないので、ジャンプかな、と思いながら中吊り広告をじーっと眺めていた。


駅について人が乗ったり降りたり。
席が空いたけれど、どうせあと一駅だから座らないで立ったまま。
そして開いているドアの反対側に寄りかかっている私の横の空いた席に、おじさんが座った。
えーと、何でしたっけ。
あの旅行とかに持って行くような、キャスターだかなんだかがついてて、持ち手が伸びて引きながら歩けるやつ。
とにかくそれを持ったおじさんが立っている私の横の空いている席に座ったのです。
そしておもむろに斜め方向に手を伸ばす。
その先には少年誌。
そのすぐ下の席にはそれを読んだあと眠ったと思われる若者。
読み終えたから置いといたのでしょう。
見ていないので実際どうだかは知りませんが。
斜めに手を伸ばすおじさん。
しかしながらギリギリ届かない。
体をひねっても無理なのでおもむろに立ち上がり、少年誌を手にする。
ジャンプじゃなくてサンデーでした。
普通に読み始めてました。
折り目つけて。
なんだか読み終えた本は読んでいい、みたいなあの車両特有の暗黙の了解があるのでしょうか。
そういうことはよくわかりません。
なのでやっぱり触らぬ神にたたりなし、です。
変なことはしないように。


危なくない少年誌はコロコロコミックだけのような気がしてきました。
他は方向性が大変なことに。


おやすみなさい。