間欠泉

ある雨上がりの夕方、男が帰路に着いていると、ネコがこちらをじっと見ていることに気がついた。
それで何かするわけでもなく、男はネコのほうをちらりと見ただけでまた歩き出した。
ネコの横を通り過ぎて背を向けた瞬間、後ろからそのネコが飛び掛ってきた。
男はバランスを崩して倒れた。


目を開けると、さっきまで自分が歩いていた道が映った。
男はゆっくりと体を起こした。
けれど目に映る景色はほとんど地面の高さと変わらなかった。
男は、自分が起き上がろうとしてまた倒れてしまったのかと思った。
しかし現実は違った。
男は確かに起き上がっていた。
ただし、ネコの姿になって。


男が、自身がネコになっていることに気がついたきっかけは、近くにあった水溜りだった。
その水溜りをのぞくと、一匹のネコが映っていた。
混乱した頭で男は思い出した。
さっきこちらをじっと見ていたネコだ。
この水溜りにそのネコが映るということは、近くにそのネコがまだいるということか。
男は辺りを見回した。
しかし辺りにネコは見当たらないし、人影もない。
そこでようやく、自分がさっきのネコになってしまったのだと気づいたのだった。


すると、自分のカラダとさっきのネコの中身はどこへ行ってしまったのだろう。
随分と遠く離れてしまったように感じる空を見上げると、随分と暗くなっていた。
ここで自分は一体どれほどの間倒れていたのか。
その間にネコは、私のカラダを手に入れたネコはどこに去ってしまったのだろうか。
そもそも、あのネコの中身はネコだったのだろうか。
私の現在の状態から考えれば、あのネコに他人の人格が入っていてもおかしくはない。
だとしたらその人は、私のカラダを勝手に乗っ取ってどこに消えたのだろう。


自分のもとのカラダをさがすべく、私は歩き出した。
しかし人間の歩幅とネコの歩幅は大分違う。
しばらく歩いているうちに、私は人間のカラダが恋しくなっていた。
そしてふと思いついた。
飛びついたのが原因で中身が入れ替わったのなら、飛びつけば人間に戻れるのではないか。
私は人間を探した。
時間のせいか、なかなか人間が見つからない。
男はあせった。
こんな姿で、しかも野宿なんてしてたまるものか。
誰でも構わない、とにかく人間を見つけたらとびかかろう。
そうして歩いていると、向かいの角から足音が聞こえてきた。
道端によけ、じっとその先を見る。
出てきたのは若い女性だった。
夜道に一人で、寂しさを紛らわすためか携帯電話をいじりながら歩いている。
こんな時間に無用心ではないのかと考えていると、その女性と目が合った。
目が合ったのはほんの一瞬で、そこにいるのがネコであると確認すると、その視線はすぐにまた携帯電話へと戻っていった。
男は、悪いとは思いながらも、女性が自分の横を通り過ぎると、助走をつけ、跳躍し、女性の背中へと体当たりした。


男の、自身のカラダを探す長い日々が始まった。


なげっぱなしで終わり。
なんかこう、入れ替わりをさせたかった。
「じょそう」と入力したら「女装」が先に出てきたのは空気を読んでくれてるのか。




昨日書いた内容に誤りがあった。
紅魔郷を紅魔境と書いていた。
「まきょう」で一発で出て安心してしまったのかもしれない。
このミスがあったという事実は、瀟洒のしゃの字がお酒じゃないことを知ったときに次いで驚いた。
仕方ないから紅魔郷を単語登録して、ミスを直しておいた。
ついでに永夜抄も登録。
でも登録するとそこから先、その言葉の使用頻度が激減するという過去の例がある。
笑点大喜利をわざわざ登録したっていうのに、全然使う機会がこないじゃないか。



唐突に魔理沙
ちなみに魔理沙は単語登録してないけど一発で変換できる。
「東方M@STER」タグでどっちかをきっかけにもう片方にのめりこめる。
それがニコニコ。


おやすみなさい。