サンタクロース

まだ11月だというのに駅に大きなクリスマスツリーを設置しようとしていた。
私はこのことからサンタクロースというのは複数存在していて、さらにそれらをまとめるため組織化されているに違いない、と考えた。


サンタクロース1人が1晩で全員の家を回るのは無理だから、人数はもっといるだろう。
それでもおそらく一晩じゃ時間が足りない。
だからクリスマスの前にあらかじめ家に置いておき、親と話をつけているに違いない。
そこで問題なのが、クリスマスじゃないのにサンタクロースが動き回っている、という点だ。
クリスマスは12月25日、一般的にそうなっているし、その日にサンタクロースが働いている分には疑うことは何もない。
しかしそれが11月だったりしたらどうだろう。
赤い格好に身を包み、白くて長いひげを蓄えていたとしても、サンタクロースであることを疑うはずだ。
そこで活躍するのが、クリスマスツリーだ。
これを見かけると人は「もうすぐクリスマスなのか」と思ってくれる。
クリスマスツリーを印象に残しておけば、サンタクロースがいることに違和感を覚えることも少なくなる。


サンタクロースはおそらく大きく分けて3つに分けられる。
1つ目は、聖夜やそれよりも前にプレゼントを配達する、最もサンタクロースらしい配達担当。
2つ目は、商品をどのように仕入れて、いくらで親に捌くかを検討する経理担当。
3つ目は、クリスマスの時期であるという印象を操作するために「そろそろツリーを置きたいのですが」と町やそこの大きな施設と交渉する営業担当。
経理担当は完全に裏方だから一般市民には存在が伝わらない。
営業担当は偉い人たちに金を積んで、自分達の正体を隠してもらっている。
だから一般市民には「サンタクロースはプレゼントを配る人」という考えが生まれたのだろう。


あわてんぼうのサンタクロース」という童謡を幼少の頃から教育の一環として歌わせるのは、「サンタクロースの仕事は家々を回ることであり、その際の多少のミスは笑って許すべき」という刷り込みに他ならない。
この曲によって、クリスマスツリーの存在と合わせて、サンタクロースとしての活動時期を広げることができる。
この点から、サンタクロースという組織はかなり狡猾であることがうかがえる。


以上のことを理由に、私はサンタクロースを組織だと確信した。


おやすみなさい。