一刺しされるまで

メイン登場人物
男A
女B,C


男Aは、いい家の生まれだった。
事情により4歳で、親の地位を継ぐことになった。
Aの関わる会議が開かれ、そこにはBとCがいた。
Aの次のポジションにBの親が居て、Cの親は会議に出る中では最も下っ端だった。
B,CともにAと同じくらいの年齢だったこともあって、地位に関係なく仲良くなった。


ある日、事故が起きた。
Cの父親が、落馬して馬に蹴られ重症を負い、そのまま帰らぬ人となってしまったのだ。
Cはとても悲しんだ。
AとBは何度も慰めてくれたが、Cは落ち着きを取り戻すころにはAとBに怒りを抱いていた。
「2人が一緒で居たいから、私を不幸に陥れて去らせようというんでしょう」と。
それは完全に被害妄想であった。
AとBが2人で楽しげに喋っているときにBに対して感じた嫉妬や、組織における立場の違いといったことが、その考えを作り上げていった。
そして、Cの頭の中はその考えに犯されてしまった。
それでもAとBはなんでもないように、辛いことが早く忘れられるようにと接してきた。
Cにとって、それこそが辛いことだったが、表面上は仲良くしておくことにした。
「裏切られた私を見てこいつらは笑っている。こいつらにも同じような苦しみを与えてやりたい」と考え、それを実行するにはまだ早いとしたからだ。
もちろん、AとBには、裏切ってやったなどというつもりは一切なく、あれは本当に事故だったのだから、純粋な気持ちで慰めていただけだ。
しかし、Cの目にはそれが、弱者を蹴落としてあがく様を眺めてる強者のように映ったのだった。


で、なんだかんだで学園祭が始まって、BはCに殺され、Aも今まさにCが手にした針で喉元を刺されんというところで目が覚めた。
目が覚めたとき、なんだか小説の世界から抜け出してきたような気分になった。
私は、Aの視点でその物語を見ていた。
女性が鬼気迫る顔で、私の喉に向かって針をズブリと刺そうとした瞬間は怖かった。
夢であって、よかった。
現実だとそんなドラマティックな関係の幼馴染なんていないけれど。


学園祭の、準備期間も夢の中では描かれていた。
その間はサスペンスな内容はお休みで、お色気モードに入っていた。
湯煙殺人事件、なんて言って事件発生や捜査の合間に唐突に仕込まれる入浴シーンのようだった。
こちらの入浴シーンは、舞台が学校であるにも関わらず、湯船に女性が浸かっていた。
非常階段の踊り場というこれまた不思議な位置に、並ぶようにして設置された2つの湯船。
一方には学校らしくスクール水着を着た胸の小さな女性が、もう一方には一糸纏わぬ裸の女性が入っていた。
ただ、裸の女性のほうは、向かい合うようにして男が立っていたので、本当に服を着ていなかったのかは分からない。
スクール水着を着ていたほうの女性は、水着をずらされ、後ろから男に胸を触られていた。
あまり、私の好みのタイプじゃなかった。


そしてこの入浴お色気シーンが終わって、しばらくすると狂気の事件シーンに突入する。
ちなみに入浴シーンの部分は、テレビを通して見ていて、思うように見る位置を変えることはできなかった。


恩田陸の本を読んでいると、人間の狂気みたいなものを感じさせるものが何度か出てくる。
きっとそれに影響されてしまったのだろう。
六番目の小夜子』を途中まで読んで昼寝を始めたのが原因か。


おやすみなさい。