後ろからそっと包み込むように

舞台は中学校。
周りには中学時代の同級生がいて、授業を受けているようだ。
しかし私は高校生のままだった。


夢の中では、自分が知らないことでも、これはこうである、と常識として捉えていることがある。
塀の向こうを実際には見たことがなくても、塀の向こうに何があるかは、夢の中の自分は知っているという具合だ。
今日の夢の中の私もそれと同じように、自分だけは高校生のままであると理解していた。
そして、カバンの中にバイオリンが入っているということも。


バイオリンを弾いたことは一度もない。
触れる楽器は、リコーダーや鍵盤ハーモニカぐらいしか思いつかない。
そのせいか、バイオリンのケースの中身は、弦と鍵盤ハーモニカだった。
それでも夢の中の私は、鍵盤ハーモニカを弦で弾き、バイオリンの音色を奏でていた。
全くもって不思議だ。


授業は主に英語や理科だったと思う。
理科室で、英語の授業をしていた、そんな気がする。
そこで私は楽器を演奏したが、周りは変わらず授業を受けていた。


場面は変わり、机や椅子が取り除かれた教室。
そこにはまたも元同級生の姿が。
同級生と戦った、蹴りで。
互いに痛みは感じていないようで、足を伸ばしあっているだけのようだった。


夢の中でたまに、女性に後ろから抱きつきたくなることがある。
もしこれが現実だったらどうしよう、と考えてしまい結局手は出せない。
ああこれは夢だな、と分かっているのにそういった局面になると、ふとここが現実である可能性を考えてしまう。
すると頭の中に、欲望にのまれるべきだという悪魔の声と、やったら捕まるぞという天使の声が現れ、対決する。
勝ったほうの意思に従うが、悪魔が勝ったことはない。
天使の言葉を聞くとハッとなり、言い知れぬ恐怖に震え上がる。


なんでバイオリンなんだろうと思って考えたら、メトロポリタン美術館に行き着いた。
昨日聴いたのが原因だろう。
バイオリンのケースに鍵盤ハーモニカを入れるのは大変だった。


おやすみなさい。