オーデュボン

弟が欲しがっていたゲームを買うために、私はクリスマスの夜に一人で出かけた。
駅に向かうバスが人がビッシリ詰まっていたのに対し、電車は往復どちらもガラガラだった。
あんなに空いている電車を見たのは久しぶりだ。


ゲームを購入し、そのまま家に戻るのももったいない気がしたので、バスを待つのを兼ねて駅の近くにある書店で本を立ち読みした。
普段立ち読みしない漫画雑誌のほうにも手を伸ばしたけれど、私の笑いの沸点が低かったため途中で断念した。


アイドルマスターSP」の発売が、1ヶ月ほど延期になってしまっていた。
その情報はネットで既に知っていたけれど、お店で発売日が変更されているところを実際に見てしまうと、改めて残念な気持ちになった。
発売日が1/22から2/19、私の誕生日2/17にグッと近づき、2日しか違わない。
誕生日の前後半年の日付なら運命を感じる私としては、このことについても当然運命を感じた。
運命度が強い。
超運命。


「オーデュボンの祈り」(伊坂幸太郎・著)を読み終わった。
喋るカカシの物語。
特徴的な様々な人が住み、1つ喋るカカシが立っている、そんな島に連れてこられた男が主人公。
謎が解かれていくところはパズルのピースがどんどんはまっていくようで、やはり面白い。
出てくる女性のほとんどに可愛いとか美しいとかの形容がなされていた。
主人公の目に映る世界は女性が美しいか可愛いの2択しかないのか、それとも島に住む女性がみんな美しいかのどちらかなのだろう。
男の中にも美しいという形容がなされている人がいた。
その男は桜(イントネーションは花の桜と同じ)という名で、詩が好きだけれど、人を撃っちゃう。
しかもそれがその島では許されている。
それでもただ闇雲に撃って回るわけではなく、桜が「裁かれるべき」と判断した人のみを撃つ。
私はこの桜が気に入った。
一方で、とんでもないぐらいに悪として書かれている男もいた。
正気の人間が壊れていくのが面白い、と考えるような男だ。
ロケット団バイキンマンみたいに、どこか憎めないところのある悪じゃなくて、賢く、狡猾で、悪さをしても捕まらないような知恵をもっている悪。
その男は島の外の人間で、職業が警察官。
どんなひどいことをやってきたか、という話は読むと気分が悪くなるかもしれない。


主人公である伊藤が、徐々に島のことを受け入れていったように、私も徐々にその島の世界観に入り込んでいった。
ラッシュライフ」とともに、面白い1冊だ。

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)


おやすみなさい。