まるで主役の座をバトンタッチするよう

『スナーク狩り』宮部みゆき・著
スナーク狩り (光文社文庫)


様々な人物の視点から、物語が進行していき、最後にはきれいに収束していく、私の好きなタイプの作品。


織口邦男が勤める釣具店に、席沼稽古は鉛版を買いに来た。
不審に思った織口は、彼女が銃を持っていることをしり、ある計画を思いつく。
そのためには今晩じゅうに銃を盗まなければならない。
が、その晩、彼女は元恋人・国分慎介の結婚式に散弾銃を持って現れた。
新郎新婦が雛壇に戻る瞬間を狙って……。


このあらすじを見て、読むことを決めた。
結婚式に散弾銃を持ち込んで、今にも犯罪が起こりそうな状態。
そこからどう物語が進んでいくのか気になった。


内容は満足の行くものだった。
ムカムカとしたものを感じなかったから。


携帯電話が、出てこないことに時代を感じた。
とはいっても、この話が書かれたのは1992年、ちょうど私の生まれた年なので、それほど古いわけではない。
相手の場所が分からなければ簡単には連絡がつかないことから、携帯電話の利便性を思い知らされた。


池上冬樹による解説の中で、「宮部みゆきは、原作の映像化は認めても、漫画化だけは絶対にしない」とされていた。
なのに、週刊コミックバンチで、この『スナーク狩り』が漫画化していた。
ブレイブストーリー』も漫画化しているし、一体何があったのだろう。


おやすみなさい。