第29回小説推理新人賞受賞作

『告白』湊かなえ・著
告白


学年末の終業式、教師が「自分の娘は事故によってではなく、殺されたのだ」という内容をクラスの生徒に向かって語りだす。
常に誰かに向かって、過去を語るような形で書かれているのですが、その語る人である事件の関係者は、みんなどこかおかしい感じ。
それぞれが、それぞれの倫理観や道徳観を持っているのか、みんな「私が最も正しい、他は馬鹿」みたいな雰囲気を感じる。


前半はおもしろかったけれど、後半は都合よすぎじゃないかな?と感じた。
強かった狂気も茶番みたいな空気に変わっちゃう。
全6章のうち、3,4章あたりがとくに怖い。
おかしい人だらけ。


本の帯に”書店員からの「告白」”と題して、いくつか感想が書かれている中に「読中感も読後感も最悪なのに、先が気になってページをめくる手を止められない」という感想があったが、私もそれと同じようなものを感じました。
スッキリしない、だけど続きは読みたい。


タイトルだけ見ると、もしかしたら恋愛小説みたいなのに、内容は事件についての告白。
表紙の、ポツンと置かれた机と椅子が悲しい。


おやすみなさい。